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CDプロジェクトRED、「ウィッチャー」と「サイバーパンク2077」で物語の選択肢を極める

著者:Kristen アップデート:Oct 12,2025

ウィッチャー3

CDプロジェクト・レッドは卓越したゲーム製作技術で名声を築いてきました。発売10周年を迎えた『ウィッチャー3』は今も史上最高のRPGの一つとして称賛され、『サイバーパンク2077』は大幅な改善を経て没入型オープンワールド体験の傑作へと進化しました。これらの看板タイトルが同スタジオをゲーム業界のトップに押し上げたわけですが、その特徴はプレイヤーの選択にシステムがいかに緻密に反応するかにあります。

意味のある選択を支えるエンジン

CDPRの強みは、複雑な物語分岐を実現すべく4世代にわたって開発された自社技術「REDengine」にあります。「他社のRPGでは、デザインの構想と技術的制約のギャップを感じがちです」とフランチャイズコンテンツ戦略責任者パトリック・ミルズは説明します。同社の独自ツールにより、クエストデザイナーは現代RPGでは珍しい有機的な結果システムを実装できるのです。

『ウィッチャー』シリーズから『サイバーパンク2077』への進化は、CDPRの野心的な拡張を証明しています。ゲラルトの冒険が調査・会話・戦闘に焦点を当てたのに対し、『サイバーパンク』ではステルスやハッキングのゲームプレイに必要な全く新しいシステムが導入されました。『ファントム・リバティ』ではRPGメカニクスとサバイバルホラー要素を融合したクエストでこのアプローチをさらに多様化させています。

影響力ある決断の設計

CDPRの物語設計哲学は、二者択一の道徳システムを避けることにあります。「善意的な選択が悲劇を招き、倫理的に疑問のある選択が正当化されることもあると理解してほしい」とクエストデザイナーのパヴェウ・ガスカは説明します。この哲学は『ファントム・リバティ』のクライマックス、ソングバードとリードの二者択一に見事に結実しており、どちらの道筋にも説得力のある物語的正当性が与えられています。

同社の独自手法は、セーブデータのやり直しを防ぐため結果を遅らせることで、真の感情的没入を生み出します。「悲しい結末でも、選択に満足感を覚えるべきです」と、次回作『ウィッチャー』のゲームディレクターであるセバスチャン・カレンバは指摘します。この感情的な真実味は、重大な決断前に綿密な文脈構築を行うことによって生まれます。

分岐する物語の課題

『ウィッチャー2』は今もCDPR最大の構造的実験で、第2章がプレイヤーの初期選択で完全に分岐します。「並行ストーリーを設計する際、リソース配分が重要になります」とレベルデザインリーダーのマイルズ・トストは説明します。その後続作品ではオープンワールド設計へ移行しましたが、『血とワイン』や『ファントム・リバティ』といった拡張コンテンツではこの野心的な分岐哲学が受け継がれています。

『サイバーパンク2077』のベースゲームでは、高密度なナイトシティ環境で結果を伝達する際の予期せぬ課題が浮き彫りになりました。「『ウィッチャー3』の地域構造は、再訪することで自然に結果を強化できました」とアソシエイトゲームディレクターのパヴェウ・サスコは振り返ります。『ファントム・リバティ』では物語のニュアンスを保ちつつ、結果の伝達をより明確にする方法でこの課題に対処しました。

ライターの重要な役割

技術システムだけでは魅力的な選択肢は生まれません。「デザイナーが枠組みを作り、ライターが感情的な共鳴を吹き込むのです」とガスカは強調します。このライター主導のアプローチにより、理論上のジレンマが心を揺さぶる決断へと変わり、『ウィッチャー3』の「血塗られた男爵」のような印象的なストーリーアークで見られる本物のキャラクター関係が生まれるのです。

次期『ウィッチャー』タイトルでUnreal Engine 5を採用するのは挑戦であり機会でもあります。「プレイヤーの主体性が私たちの指針です」とカレンバは語ります。この移行により、物語的な結果を超えた選択システムをより深いゲームプレイ統合へ拡張する可能性が開けます。しかしCDPRの歴史が示すように、このような野望は技術と創造性の慎重な連携を必要とするのです。